
「誰でもわかる歌舞伎展」
毎月カルチャースクールや「寶山和ぁ〜くショップ」などで通っている青森も晩秋の気配となっていた。こうした活動を通して、つがる五所川原を拠点に多くの方々と親交を深めてきた。その成果を共に作ってくれたDANZ〜音“の会の佳き友人たちと「誰でもわかる歌舞伎展」を10月27日から3日間、つがる市稲垣町「稲穂いこいの里物産館」で開催した。

ここは藁葺き屋根の古民家を移築した建物で土間と、いろりと板敷きの部屋、入ってすぐの一角は、津軽塗師〜野崎宏平さんの仕事場となっている。
そして、DANZが地域文化振興のため町から委託管理を受けているもので、以前、私も「寶山和ぁ〜くショップ」開催しているが、「藁工芸〜藁の会」やポップスデュオ「サエラのコンサート」、「誰でもわかる源氏物語」を始め地方文化振興のためユニークな企画制作でボランティア活動を続けている。
10月25日火曜日青森入り、弘前NHK文化センターの講座を終えて、夕方会場に向かった。「寒ム〜ィ!」この日今冬?一番の冷え込みで、館内にストーブをいくつもつけてなんとか暖をとりつつ準備にかかった。DANZのメンバーで事前に“歌舞伎の成り立ち”“歌舞伎十八番”のこと、歌舞伎の錦絵や写真、公演プログラムや台本、芸術鑑賞教室「寶山和ぁ〜くショップ」の子供たちとの写真などがところ狭しと飾られていた。後は私の私物で、楽屋を模しての鏡台前の化粧道具や、かつらに衣裳、隈取りの押し隈掛け軸、などの飾り付け。展観のレイアウトも古民家の色合いを失わないで、いい具合に整い、幕開けを待つまでになった。帰る頃にはみぞれまじりの冷たい晩となった。
27日初日オープニングも陽の落ちてからの6時開場、都会とは違っていくらかの街灯はあっても会場を思わず通り過ぎそうな明度、ここにお客様が来るのか心配な様子であった。
しかし、その心配も余所に私の「歌舞伎おもしろ話」が始まる頃には、にわか舞台を囲んで4、50人の人で満席、歌舞伎の成り立ちから楽屋話、「勧進帳」や「藤娘」の実演に客席が沸いて大盛況、野中の一軒家のここだけは別世界となっていた。

これも3年前のサエラとのジョイント公演が縁となって津軽の人々と進行を得たお蔭とありがたく思った。津軽の地元紙〜東奥日報、陸奥新報、また、青森テレビや弘前文化センターの講座開催の関係でNHKテレビでのおしらせがあり、毎月のRAB青森放送の出演が衆知に協力してくれたことも特記し感謝したい。

さて、翌28日は前日の評判を聞いてまたも多くの人が押し寄せ、二日続きで見えて下さった方も多数おられた。この日は、歌舞伎の話と共に隈取りの化粧実演、裾引きの芸者の衣裳着付実演なども開催、この日の勧進帳は富樫の出から台詞の読み上げ、義経一行の花道の遣り取りも聴かせて、あらすじの解説。その後、「おもしろや〜」から終わりまで踊り、花道引っ込みの飛び六方を見せた。

多くの人たちが、初めて歌舞伎に触れたと喜んでくれた。今回の歌舞伎だけでなく多種多様な演劇舞踊、オペラ、コンサートなどの公演は何年かに1度はあっても、開催都市部まで足を運ばなければ何十年もそうした芸術文化に触れることのない地域が日本中に沢山あることを深く感じた。最終日は東京での「和の学校」講座と稽古日を控えて朝一便で帰京することとなったが、沢山のお客様が見えたことを聞いて開催できてよかったと思った。津軽の温かい心の人たちに支えられての活動、これからも続けて行きたいと思っている。有り難うございました。(10月31日、立花寶山)
posted by 宗家立花流 at 23:46
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立花寶山